【ご報告と御礼Ⅲ】第4期現代音楽鑑賞講座第4回[東俊介]

全7回シリーズで開催している第4期現代音楽鑑賞講座が第4回まで無事に終了し、後半を迎えます。先日に続き、本投稿では、第4回での模様を簡略に報告します。

7月31日に開催した第4回では、作曲家の東俊介さんによる、自作についてのプレゼンテーションが行われました。個性的な音楽世界を構築している東さんは、ドイツでの研鑽を経て、昨年末から拠点を日本に移し創作活動を展開している、注目すべき優れた作曲家です。

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当日のプレゼンテーションは、終始能動的で熱のこもった議論を呼び起こし、とても刺激的で意義深いものとなりました。発表の冒頭で彼自身がインタラクティブな展開形式を参加者に求めたこともあるでしょうが、発表で紹介されたそれぞれの曲の背景や構成プラン、作曲方法と曲への用い方、さらに実演から学んだ考察までの説明がきちんと整理されており、また、あずまさんの音楽思想の伝達も非常に明確であったことが参加者の自発的・積極的な参与に繋がったと思います。彼特有のウィットに富んだお話も発表の一つの魅力。

12以下は、当日鑑賞した作品リストおよびそれぞれの作品の簡略な説明であり、東さんご自身が作成した当日配付資料の一部内容を彼の許可を得て紹介します。


<概要>

◎ 二つの作品を通して、最近までの作品全てにおける作曲の方法の共通点について
– 図形から、全体の構成とテーマの進行表を作った作品
・ 参考曲: Mondsichel-Tanz!(モントズィッヒェル-タンツ!) for Flute, Clarinet, Violin,
Violoncello and Piano (2009)
– 図形から、テーマの代わりに小さな音型/モチーフの進行表を作り作曲した作品
・参考曲: In fünfeckigen Räumen(五角形の部屋にて)for Accordion and Piano (2010)

◎ Tetracyclin(テトラサイクリン) for 3 Slidewhistle, Violin, Guitar, Accordion, Contrabass, Percussion and Sampler/Synthesizer (2011)
– 簡単な物語を考え、それに沿うようにそれぞれの楽器にキャラクターを与えた、
標題音楽的な作品

◎ Remain for Accordion (2014)
– タイトルであるRemain(後に残る、存続、残存、とどまる等) の言葉の意味を
コンセプトとして作曲した作品

◎ „Speed” for Violin, 2 Percussion and Sampler/Footpedal (2014)
-トランプのゲーム『スピード』の中で起こる人の動きと、ゲームのルールから発想を得た作品

[東俊介 記]


10綿密に構築された彼のいくつかの構成プランについて、「そのような構成を聴者は知る必要があるのか?」との客席からの質問に対し、「全く必要ない、事前情報や先入観なしで音楽だけを聞いてほしい、プランは僕のためのもの」と答える東さんのお話は印象的でした。どんなに素晴らしいコンセプトもシステムも実際の音の響きより優位に立つことはできないわけですから、彼が周辺のあらゆる物事や出来事から着想を得て構築したユニークな構成は、響きの質を見出すための探究から生まれた、必然的な結果物なのかもしれません。

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素晴らしい音楽と発表を聞かせていただいて東さんに心より厚く御礼申し上げます。また鋭い質問とコメントをくださった近藤譲先生、活発な質疑で発表を一層盛り上げていただきました参加者の皆様に深く感謝いたします。

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