『石塚潤一講演会』講義の概要 (3/24 夕方の部)

💡 3/24 夕方の部について、講師の石塚さんが講義の概要を書いてくださいましたので、ご案内いたします。

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黛敏郎の《涅槃交響曲》(1958年=昭和33年4月2日:三人の会第3回公演にて初演)では、梵鐘の音を音響解析し、その結果をもとにオーケストラで梵鐘の音を再構成した定説があり、その先進的な方法論がカンパノロジーと総称されたりもします。
 
これゆえに、黛のこの試みはフランススペクトル楽派の試みを先取りするもの、とも評価されたりもするわけですが、ただ、果たして黛が梵鐘の音響解析を行い得たのか、という点については幾つかの疑念があります。
 
1、フーリエ解析のアルゴリズムと、これに必要な計算量を比較した場合、1950年代後半の日本におけるコンピューターの速度がこれを実現するに十分なものだったとはとても思えないこと。
 
2、NHK電子音楽スタジオの技師であった佐藤茂が、《涅槃交響曲》作曲において何人かの技術スタッフが梵鐘の音響解析に向かったが、解析の入り口である基音の周波数の測定にも失敗した、との証言を残していること。
 
3、アポロ11号に搭載されたコンピューターの演算速度が初期のファミコンにも劣るものだった、という事実が語るように、この60年のコンピューターの発達は凄まじく、過去には出来なかったことが現在は簡単にできるようになっています。2011年に、今堀拓也が梵鐘の録音をもとにOpen Musicで解析した結果からは、《涅槃交響曲》の音組織と整合するものは得られなかった。
 
などの根拠があります。
 
本講演の目的は、単に黛敏郎《涅槃交響曲》での音響解析の可否を語るのみでなく、「それでは《涅槃》の音組織とは何なのか?音響解析以外の歴史的文脈に依拠するものなら、それは何によるものなのか?」という点にまで迫れればと考えています。

いくつか当たりをつけていることはあるのですが、これから具体的な解析をいろいろやるので、どういう結果が出てくるかはわかりません。ただ、この講演を聞いたからといって、「幻滅した。もう《涅槃交響曲》は聴かない」とならないことは請け合います。

一般的な音楽大学や大学院では聞けない話ができれば、と思います。予約受付中ですので、みなさんよろしければお誘いあわせの上ご参加ください。[石塚潤一 記]

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