「現代に於ける作曲の理論と実際」ー6/9鼎談に込めた想い(星谷丈生 記)

いよいよ明後日に迫ったBuncademy Reunionの2019年夏の企画、「現代に於ける作曲の理論と実際」について、スタッフの星谷丈生さんが今回の鼎談に込めた想いを書いてくださいましたので、以下ご紹介いたします。

<6/9 Buncademy Reunion 企画者の妄想 >今週末に行われるBuncademy Reunionの鼎談について、企画者の一人として妄想していることを書いてみました。

20年ほど前、私が大学に入学した頃には、現役の作曲家が自作を語り、その作品や作曲手法について議論を交わす、ということは今よりもっと多かったように思いますし、少なくとも今よりずっと関心が持たれていたように思います。

しかし、今や「作曲家の関心や作曲手法が多様化していること」を認識することが当たり前となった今、個々の作曲家について(よほどの大家は別として)他人が現役の作曲家の作曲手法や作品について、同じ土俵で突っ込んだ議論をする、ということは教育現場での先生と生徒の関係を除けば随分と少なくなりました。20年前にも既に作品の多様化は充分に進んでいたと思うのですが、少なくともまだ共通の関心ごととして、作曲家が今試みている「作曲理論」について突っ込んだ議論する意味がある、と思っていた人が今よりずっと多かったのではないかと思うのです。

しかしながら現在では、他人の作品について簡単な印象を述べることはあっても、詳細な作曲技法をも含めた作品の在り方や作品の価値について議論することは、ずっと少なくなってきたように思います。私はそのような機会を特別に懐かしく思っているわけでもないのですが、一緒に音楽を聴き音符について語り、というところからある種生まれた音楽の共有には一定の価値があったとも思っています。

私自身、多くの作曲家の方のそうしたレクチャーから、多くのものを得てきました。一番大きかったのは多様な「聴き方」を得ることができたことです。楽譜を見ながら作曲技法の詳細について作曲家本人の解説を交えて作品を見ていくと、作曲家それぞれの聴き方を追体験できることがあります。それはとても重要な体験で、具体的な音符なしには成し得ないことだと思います。

なぜこのような「共有の場」が減ったのかと言えば、現在の作曲理論があまりに多様であり(それは勿論いくつかの方向に分類することはできるかもしれないが)、それらの多くが「極めて私的な方法」に拠っていると考えられているのではないかと思います。

メインストリームを設定することが難しくなった今日においては、作曲家が作曲理論を用いる理由も様々で、作曲を進めるための「ツール」として作曲理論を用いるもの、美学的な信念から作品を構成するための方法や手段として「作曲理論」を用いるものなど、様々な傾向が考えられると思います。「ある人は、自国の民族音楽の影響について語り、ある人は宇宙の理論を援用して作曲を行い、別の人は音響解析やMaxの新しいパッチについて語る」ということが同じ会で行われれば、全ての議論についていくことは容易ではないことは明らかです。

誤解を恐れず乱暴な言い方をあえてすれば、「曲も充分たくさんありますし、ちょっと聴いて「お、面白い音がするな」と思えば良し、ピンと来ることがなければ、知らん。作曲技法?よほど有名な作品でない限りそんなもの1曲ずつ詳細に見ている暇なんかないでしょう。」というのが、大方の(普段よほどコアに現代音楽を専門としている方でない限りは)所ではないでしょうか。しかし、そのような状況では、音楽を真に理解することは極めて難しく、専門的に勉強する必要のある学生にとっては、重要な機会を逸していると思います。

例えば雑誌に批評をのせることのできる専門の批評家ですら、前述の印象レベルの批評をしてしまうことがしばしばあることは、憂いることだと思います。私は学生時代、上記のような様々な作曲家の方のレクチャーなどを通して、音楽の聴き方が変わったな、と思える体験を多くしてきたことは否定できません。もちろんそういうことと関係なしに、普通に聴いて好きになった作品の方が圧倒的に多いですけれども。

話が戻りますが、しかし、現在のような状況では本当に作曲家達がお互いの作曲作品について議論を行い、共有することは不可能なのでしょうか?私はそうは思いません。様々な立場の作曲家が同じ土俵で議論するためには、「作曲理論」と「実践としての作曲」、「作品」の関係性、そしてそれを「聴取すること」についての理解を深めることが重要に思います。そのヒントが、今週末行われるBuncademyの鼎談に隠されている、、、かもしれません。

ここまでは、私の妄想でして3人の先生方がお考えになっていることとは全く違うかもしれません。笑。私の話が何の関係がなくても返金できませんのでご了承ください。笑

 皆様のご来場を心よりお待ちしております。

記:星谷丈生(作曲家)

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